甘酸っぱい彼
[百季ver]
授業が終わって帰りのミーティングが終わり、家に帰ってきた。あの後、修は帰って来なかった。きっと美衣奈ちゃんとサボって、どっかデートでもしてるのかな。そんなこと考えながらニンジンを切ってたら指を切ってしまった。いつもならこんな怪我めったにしないのに、なんでだろ? あたしはばんそうこうを付けると再びキッチンに戻って料理を始めた。でも、何回か修のこと考えてたら指を切りそうになって危なかった。
「なーんか、考え事?」
その声に驚いて前を見るとカウンターに頬杖しながらこっちを見ている優雅がいた。
「ゆっ・・・優雅帰って来てたの!?」
「うん、10分前に。」
「あ・・・そう。」
あたしは小さく呟くと次は玉ねぎを切り始めた。
「ねぇ、姉ちゃん。なんかあった?」
あたしはその声にドキッとした。

・・・優雅にはあたしの心見えてるのかな? なんでわかんのよ。

あたしはそう心の中で呟いてみた。するとそれが伝わったのか優雅が言った。
「図星なんだ。・・・つか、別に心の中よんだわけじゃないよ。姉ちゃんいつもよりだいぶご飯作る時間長いから。」
「・・・へ? あ・・・あたしどんくらい作ってる?」
「今日姉ちゃん4時終わりだろ? そっから帰って来て20分掛かるとして・・・1時間は軽くいってる。そんで、この材料だとカレーだろ?・・・まだ切ってんの?」
優雅は鼻で笑った。こ・・・このぉ、言い返そうと思ったけどさすがに可哀想と思って言うのは止めた。


それからあたしは優雅に手伝ってもらって、カレーを完成させることができた。
そして眠りに着いた。
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