甘酸っぱい彼

数日後・・・。
季節は転入してきた春を終え、夏が過ぎ秋へと変わっていた。
「今日から転入生がこのクラスに来る。じゃあ、入ってきてくれ。」
先生がドアに向かって手招きをしてる。

転入生かぁ・・・。あたしも数か月前はあんなふうに手招きされて、教室入って男子校でびっくりして・・・いろいろあったなー。どんな人来るのかな。

なんて一人でボヤボヤ考えていると転入生が入って来た。あたしはその瞬間、呼吸ができなくなった。

そんな、まさか・・・。イヤ・・・なんであの人が来るの・・・？イヤイヤイヤイヤ・・・！

「滝川龍之介です。趣味はぁ・・・んー・・・あっ、百季！？百季じゃね！？俺のこと覚えてる？龍之介ッ！お前の元カレー！てか、なんで百季男子校いんの？まあいいや。あとで教えろよー！よろしくお願いしまぁす！」
教室中がざわめいてる。あたしは俯くことしかできなかった。周りの視線があたしに向いてるのが分かる。そんな中、朝のミーティングは終わった。



龍之介は校長先生に挨拶するために教室からいなくなった。すると三人があたしの所に来た。
「なあなあ、あの滝川龍之介って奴。ホンマに百季ちんの元彼なん？」
「ハッキリ言いなさい！百季ちゃんッ！！」
「う・・・うん。そうだよ・・・。」
あたしは小さく呟く。まともに二人の顔が見れない。
「そうか・・・。」
修はどんな顔をしてるんだろう・・・。見ることができなかった。


それから授業が始まり、龍之介にすごい質問攻めを食らった。最悪にも席は隣。過去の記憶が頭中グルグルしてて、あたしは苦しかった。龍之介はあたしを裏切ったことを覚えていないんだろうか・・・。