ただ「好き」って言いたくて。
『翔太先輩へ
こんにちは。いきなり手紙書いてごめんなさい。体育祭の後、ちょっとだけおしゃべりしたの、覚えてますか?実は、あのときから先輩のことが好きでした。もしよければ、付き合ってください。
   1年 栗村 柚紗』
「いいんじゃない?」
うちの手紙を机に置き、睦姫先輩はそう言った。
「じゃ、今渡しに行こう。」
「は?!今?!」
信じられない今から渡す発言に、うちは口から心臓出てくるかと思った。
「なにいってんの!!そんな弱気でそうすんの!!」
睦姫先輩は信じられないほど強い力でうちの背中をたたき、たたかれたうちは、今度はさっき食べたばっかのサンドイッチが出てくるかと思った。
「ちょッッ…むつ…まッ…」
むせるうちを置いて睦姫先輩はさっそうと教室を出て行った。
ピンク色の封筒にいれたピンクの便せんを持って。

「うー…だぁぁもぉーー!!」
「柚紗うっさい!!」
お母様に盛大に怒られ、部屋に戻ると、携帯にメールが来ていた。
『メール新着1件
   睦姫先輩』
嫌な予感がすっごくしてしまう。
『今暇?
 暇だったら5分後に柚紗ん家の近くの公園に集合ね。
 つーか来い。
   mutu』
ああ、返事もらったんだ。やばい。なんか理由つけて行かないようにしよっか…。
でもメールからの威圧感がやばいから行かないと殺されそう…。
そうやって悩んでいると、
♪~♪♪~
電話だ。
『着信 
 睦姫先輩』
「来た。」
恐る恐る通話ボタンを押す。
「もしも…」
『おっそい!!先輩に何分待たす気?!』
鼓膜をつきやぶる程の怒鳴り声が耳に突き刺さった。
「すいません…急遽母が…」
『1分で来い。』
ガチャッッ…ツーツーツー
行かなきゃ。まぢで殺られる。
うちは急いで家を出た。走って公園に向かう。
公園に入ると、睦姫先輩はもうすでに来ていた。(あたりまえか)
「すいません!遅れました!」
とりあえず謝ると、睦姫先輩は黙ってピンクの封筒と、見慣れない青い封筒を差し出した。
「え?これ…」
戸惑ううちに、「読んでみ。」と一言だけ言って、もう一度黙り込んだ。

   


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