いちごのひみつ
師匠が慌てていた理由は


わたしがお母さんに電話をして


すぐに解った。


「今日そっちに行くから」


嫌な予感がした。


普段おしゃべりなお母さんが


用件だけを伝える時は


決まって悪い話。


「忘れてたってことは、師匠は今日のこと…」


「うん…まぁ」


はぐらかすような返事をしながら


師匠は髪をお団子に結い上げると


「でも…きっと大丈夫だよ。多分」


そんな適当にも程があることを言って


微笑んだ。
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