Impression~心の声
 それが今の私の本心からの訴えだった。
いさむ「ありがとう。そうだなぁガラスの話、何がいいだろう。」
 彼は何を話そうか迷った末にこう言った。
いさむ「じゃぁ今日は誰もが知っているシンデレラの話はどうかな?」
香織 「シンデレラ?ガラスの靴の?それなら私もしってるよ。」
 何だか私はわくわくしていた。彼の声が次にどんな話を奏でてくれるのかと。身を乗り出し、まるで私は小学生の子供になってしまったかのようだった。
いさむ「誰もが知っているシンデレラの物語。シンデレラという名前はサンドリオンの英語読みで、灰かぶりという意味を持つんだ。」
香織 「灰かぶり?」
いさむ「そう、すすだらけで汚いってそのままの意味だろうね。」
香織 「そんな名前かわいそう。素敵なお姫様の名前だって思っていたのに。」
いさむ「そうだね。それでこの話はフランスのシャルル・ペローという人が地方に伝わる昔話をまとめた本の中の一つの話なんだ。物語の鍵になるのが〝ガラスの靴″でもガラスの靴なんて実際はいて踊るどころか立つことさえ出来ないんじゃないかって思うだろ?」
香織 「あっ、私実際にガラスの靴をはくなんてこと今始めて考えたかも。そう言われてみると。ガラスの靴履いて踊るなんてこわいかもしれない。」
 私はそこでくすりと笑った。
いさむ「だろ?これはペローが昔話を聞き取る際のミスだともいわれてる。本来は高級なリスの毛皮を意味するヴェール。」
 Vair.
 いさむは、そうスペルのログを画面に打ち込んだ。
いさむ「でガラスを意味するヴェール。」
 Verre.
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