Impression~心の声
私は泣き濡れた、、。
 勇は私の肩に優しく手を置いた。
「ごめんね、ありがとう、僕なんかのために泣いてくれて、、。」
 しばらくの間私は泣き続けた。もう太陽は西に落ち地平線から今日最後の光を放っていた。落ち着いた私は彼に質問をした。
「どうしてそんな怪我をしてしまったの?」
「あれは、、、。」
 そこで一回勇は短いため息を付いた。
「半分は自分の不注意かな、、。」
「後の半分は?」
「きっとこれが僕の運命だったんだと思う、、、。」
 それはとても悲しい言葉だった。
「だけど、、、どうしてこんなに、、、。」
 勇は小さくため息を付いた。
 私は再び涙が溢れそうになるのを私はこらえた。
「怖くは無い?ガラスを触ること、、。」
「この事故の後、正直始めは怖かったよ。でもこれが僕の運命なのだとしたら、、。やめちゃいけないって思ったんだ。一度の人生この短い時間の中で、、僕は僕の意思を貫こうって思ったんだ。」
 辛かった、勇の本当の気持ちを垣間見たようで。そして勇は私に教えてくれた。
「運命って物はね、きっと変えられないように出来ているんだよ。僕と美鈴ちゃんがこうやって出会えたことも運命なのかも知れない。この先の未来だってなにが起こるかなんて何一つ解らない、だから誰もが自分の未来を知りたいと思うかもしれない。だけど未来を見据えることの出来る人間なんて誰一人としていないんだ。何事も、人間の意志にかかわり無く身の上に降り注ぐ、幸いもそして不幸も、全てがめぐり合わせなんだ。これは当たりまえのことだけど。運が悪いとか運がいいとか、僕はそんな簡単な言葉では片付けることは出来ないものだと思ってる。幸せも不幸も、それは自分の心が決めることだから。それでいいんじゃないかな人生なんて。」
 私は息が詰まって声が出せなかった。勇は話を続けた。
「人がこの世で生きること。凄いことだよね。僕はそう思う、前にも言ったけどたった一回だろ人生って。生まれてから死ぬまで。たった一回だから、たった一つのことを生涯やってのけたいんだ。僕はそれで幸せだよ。誰がなんと言おうとも。幸せの尺度は僕が決めることなんだ。」
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