Impression~心の声
DJはおちゃらけて、番組を回し続けていた。私は黙ってそれに耳を傾けていた。
「綺麗な歌だよね。今の歌。」
「えっ?」
 急に口を開いた勇に私は驚いた。
「僕もこの歌すきだな。特に壊れた運命はいつかきっと蘇る夢の中で記憶している過ぎ去った日の中でそうだったようにってところが、、、。」
 こんな時私は何て言ったらいいのだろう、、。
 私は何も言葉に出せなかった。もしもこの歌を歌っているのがわたしだって勇に伝えたらどうなるのだろうか。勇は町田美鈴を知っているのだろうか、、、。
この歌詞は私が書いたものだった。もちろん勇が好きだと言ったフレーズも、、、。父の肩身をなくした日に。たかが肩身という人もいるかも知れない、だけどあの時の私の悲しみは計り知れない物だった。二度と会うことの出来ない大切な人との思い出が壊されることは自分の体の一部を切り裂かれるのと同じほどに。
宝物なんかじゃなくていい
あの記念日を覚えていてくれるのなら
同じ気持ちなら思い出せるはず
目を閉じればすぐそこに、、、。
手をつないで歩いた坂道カメラを向ける優しい目いつだって思いではあなたと一緒に作られていた、、。
「過去に辛いことがあったの、、。私には誰にも知られたくない過去があるの、、、。」
 思い出に包まれると、自然と言葉が零れた。
「知られたくないことは誰にも話さなくたっていいんだよ。いつか時が解決してくれるまで。それまで静に心の隅に住まわせればいいんだよ。」
「本当にそんな日が来るの?」
「来るさ。」
「じゃぁどうやってその日を待てばいいの?」
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