Impression~心の声
「過去は消せない、どんなことが起こってもね。忘れることも難しいだろう。だけど辛かった過去を思い出さないことなら出来るだろ?」
「思い出さない、、。」
「美鈴ちゃんにはきっと出来る。」
 消せないのなら、思い出さなければいい、、、。
 その言葉が胸にしみた。
好きだった人に裏切られたあの日、、。
大切な物が無くなったあの日、、。全てを二度と思い出さない、、。
私はゆっくりと目を閉じた、、。
辛い記憶が少しずつ蘇った。
芸能界に入り、、少しずつ階段を上り、世界を自分の物だと感じていたあのころ。自信に満ち溢れ、この状況と現実が不動だと思っていたあのころ、、、。
ある雨の日に私は彼のマンションを訪ねた、すると彼は私以外の女性を抱きしめていた。
彼の全てを信じていた私にとってこれほどのショックを感じることはなかった、、。
まるでいきなり頬を平手で打たれたような衝撃を感じたことを今でも覚えている。
私はすぐにその場から逃げ出した。怖かった裏切られた真実が、、。しかもその女の子は私の知ってる女の子だったから、その衝撃はなおさらだった。彼女は、私と同じ事務所の後輩だった、、。   
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