Impression~心の声

朝目が覚めると今日も、最高の天気だった。青い空と青い海。
「おはよう、ここはやっぱり天国なんだね。」
　そういった私を勇は少し不思議がっていた。だから私は続けて言った。
「とっても綺麗、海も空も、、。」
「そうだね、今日は美鈴ちゃんがこの海と空を独り占めにするといいよ」
　勇はそういって微笑んだ。
　私たちは朝食の後砂浜に出た。昨日もここを一人で歩いたが、やっぱり二人だと気持ちが違った。なぜかは解らないだけど確かな安心感を私は感じていた。潮風が磯の香りを運んできた。海鳥が波間に揺れていた。白い砂浜の砂は私の足元に絡みついた、さらさらと心地よく。勇が小さな石を海に投げた、アメンボのように三回弾みそのまま海に沈んでいった。勇の後姿が私は大好きだった。広い背中、バランスのいい腕。もしも奇跡が起きるなら、時間よ元に戻れ、、、。私はそう叫ぶだろう。こんなにも美しい青い空の下で。理想通りの勇と、そう、、、理想通りの恋人と同じ時を過ごしたかった。
「花をつみに行こうか。この間美鈴ちゃんが取ってきてくれた、ハイビスカスもう枯れちゃったろ？」
「うん」
私は頷いた。勇と一緒に花をつみに行くという行動に心が弾んだ。
「この間美鈴ちゃんは、あっちの方にいったんだろ？」
　そう言って勇は南の方を指差した。
「そう、あの丘の上でつんだの、ハイビスカス。」
「この辺だとあの丘の上に良く咲いてるよ。」
　勇はそう言って今度は北側の方に歩いてみようと私に言った。景色はほとんど変わらなかった。私が反対に歩いた時も、浜には波で削られた流木が打ち上げられていた。不思議な形をしていた、まるで私たちに何かを訴えようとしているかのようだった。足跡が二つ重なる、歩いてゆく方向が同じだと、歩幅や歩調が自然と合った。このまま未来まで繋がっていたらいいのに。
「あそこ見て。」