Impression~心の声

勇が立ち止まり振り返った。私が顔を上げると勇は指を指した。
「ほら、あそこ、、。」
　その指の指す先には一輪の白い花が咲いていた。
「白い、、ハイビスカス、、。」
　その立派で華々しい姿はまさに圧巻だった。
「あれはね、ハイビスカスじゃないんだよ。ムクゲって言うんだ。」
　私は花に近づいた。汚れを知らない生粋の白。大きな花びら、その中に吸い込まれてしまいそうだった。
「ムクゲって言うの？」
「そう、花言葉に尊敬という言葉があるよ。」
「尊敬？」
「うん、自分ではない誰かを尊び敬うこと、、。凄くいい言葉だよね。」
　私は頷いた。誰かを尊び敬う、、。その言葉をいい言葉だといった勇を立派に感じた。言葉を大切にする人、私は勇に少しずつ心が引き付けられていくのを感じた。今確かに言えることそれは勇が私の持っていない物を確かに持っているということだった。
　以前の私ならきっとこの素晴らしい花も見過ごしていただろう。
　真白なムクゲの花はは気付くと周りには無数のものつぼみをつけていた。
　大事なこと、大切なこと、たった一言の言葉にはその全てが含まれていた。
「つんで帰る？」