Impression~心の声
勇はもうおきて朝食を用意してくれていた。
「明日から、美鈴ちゃんがいないと思うとちょっと寂しいな。」
 勇はそういって笑った。つられて私も笑ってしまった。
 顔を洗って一緒に食事をした。なんだか別れの朝なんかじゃなくて、始まりの朝、そんなふうに感じられるほどすがすがしい朝だった。
「忘れものは無い?」
 荷物を整理する私に勇はそう声を掛けた。
「うん」
 私は頷いた。
「ちゃんと全部持ったよ。」
 私は勇に貰ったネックレスを首から提げた。
「よかった。良く似合ってる。」
 勇が満足げにそう言ってくれた。私も少しうれしくなった。来る時に着てきた緑のワンピースにもそれはとても良く合った。ポケットにはトンボ玉を忍ばせた。
 空港までは、来た時と同じように勇が私を車で送った。重い荷物は勇が大事に抱えてくれた。
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