Impression~心の声
自分が好意を寄せている人から好きだといわれた時ほど胸が熱くなる瞬間は無かった。
 私はその手紙を何度も何度も読み返した。一つ一つの言葉を噛み砕き反芻した。
 気持ち悪いと言わなかった?
最初はもちろん思ったよ。私は心が汚いから、、、。
 話を聞いてくれた?それは本当に素敵な話だった、ただそれだけのこと、、、。
 こんな姿じゃなかったら私を幸せに出来たかって?
 そんなこと、、私が答えられる立場ではない。
愛される資格を得られたか?
 愛されることに資格が必要だってこと、、、。そんなことを言われて改めて胸を締め付けられた。そんなの当たり前だって思ってた。見た目で人を判断し評価することを、、。だけどそれがこれほどに人を傷つけ苦しめることだったなんて、、。
 一つ一つの文章を見つめれば見つめるほど涙が溢れた、、。
 本当の気持ちを伝えること、、、。
 それは私が勇にしなかったことだった。
 勇は私に沢山のことを教え、沢山の物を私に与えてくれた。だけど私は何も出来なかったどころか、本当の気持ちすら勇に伝えられなかった、、伝えることが出来なかった。それは迷いがあったからだった。私はそれを知っていた。卑怯で卑劣な人間だった。口には出さなかっただけ。きっと私は身勝手なプライドで自分を固めていた。どんな失敗をしたからって、私が元アイドルだったことに代わりはないと、だけど私は知った。
変わってゆく思い、それが今の私にとっての真実だってことを。
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