堕天使フィソロフィー
熱は何日か続いた。
その間に、健康診断を受けた。

「レイ、あんた血管にたこできてるわよ。そうとうやってたわね」

否定は出来なかった。
その間、精神科の薬は処方されなかったから、薬がないと飯を食べないという強行手段に出て、鑑別所の精神科医は渋々飲み続けている薬を処方した。

これで、ある程度まともな気分を保って生活することが出来る。
生活に必要な着替えは、最初の面会で母親が差し入れてくれた。

入院生活が終わってから、ずっとエアコンの効いた部屋で引きこもっていたから夏の鑑別所生活は厳しかった。

薬の副作用で喉も渇く。
立ちくらみ、眩暈。

逃れたい現実。
幾ら望んでも終わらない命の果てと、訪れる明日。

希望なんて何処にもなかった。


ただそんな毎日だった。

私選弁護士をつけるお金なんてなかったし、
そんなもの親が雇ってくれるとも期待できなかったから国選弁護士をつけた。

自分が、また家に帰れる自身はなかった。

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