堕天使フィソロフィー
「おかえり。」
『ただいま』
1年ぶりに感じるリュウのぬくもり。
人のぬくもり。温かかった。
やっと触れたかった人に触れられた。
ただ一人、愛していると言える人に。
『待っててくれてありがとう』
「うん」
笑いながら、抱き締め合いながら
あたし達は泣いた。
嬉しくて。ただただ嬉しくて。
「もう何処にも行かんといてね」
『何処にも、いかないよ』
生き延びて訪れた未来は、とても幸せだった。
今思えば、あの時が一番、
人を愛せていたのかも知れない。
裏切りも嫉妬も憎悪もなかった。
お互いしか見えていなかったのだから。