堕天使フィソロフィー
まだ暑さが残る部屋で、ぼんやりと渇いた空を見上げる。

砂時計が墜ちるように、時間は通り過ぎていった。


遂に、中絶の日になった。

手術だからピアスは全部外してね、先生に言われたから

耳のインダストリアルとかスナッグとか全部外して、ヘソピも外した。

着替えたり、点滴を打ったりして

『嗚呼、これで空ともお別れなんだな。。。』

ただ単にそう思った。

実感がほんとに沸かなかった。

手術服に着替えて、それでも実感が沸かなかった。

漫画でよくあるみたいに

手術台で先生と一緒に心のなかで数を数えたけど、

ぼんやりするものの、意識が途切れることはなかった。

『麻酔打ったよな。。。何で意識あるの?』

疑問に答えが出ないまま、一瞬からだの力が抜けた。




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