堕天使フィソロフィー
乾いた音がして、ナイフは床に落ちた。

ヒカルは何も言わず、そのまま部屋を出て行った。

あたしは始終泣いていたからへたり込んで座ったままだ。

ミオは「何も心配いらないから」と言ってまたあたしを抱き締めた。

もう朝方へとカーテンの外が白み始めていたから、泣きつかれてその日はミオの腕の中で眠った。


ミオは明日仕事だし、あたしも新幹線で帰らなくちゃいけない。

一瞬で朝が来て目を覚ますとミオの携帯にヒカルからメールが来ていた。

「帰りのガソリン代と高速代ないから貸して(´・ω・`)刺されたと思ったら安いもんだろww」

つくづく後先考えない人間なんだなーと思って呆れたけど、ミオの携帯に来たメールだからあたしには正直関係ない。

ミオは悪態をつきながら、ちょっと行って来ると言ってミオにお金を渡しに行った。

これで全部終わったんだという気持ちと、もうヒカルの隣で笑うことはないんだなという寂しさが同時に押し寄せてきた。

結局起きれなくて、ミオはその日仕事を休み夜には新幹線で帰った。

遠距離恋愛だけど、この距離なら毎週来れる。

一週間その分仕事が頑張れる。



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