堕天使フィソロフィー
次の週末も、ミオに会いに行く予定だった。

でも一週間はあたしには長すぎて、会えずに店と家を往復する平日は地獄だった。

ミオがいなければ、世界に色は一色もない。

そうとすら、思えた。

他人から観たら、彼氏に惚けてるおめでたい女なんだろうが、そう客観的に自分を見たところで寂しさの埋め合わせにはならなかった。

カーテンの外は真夏。隙間から溢れる日差しが音を立てて焦げていきそうだった。

締め切った部屋でガンガンにエアコンをかけて、ベッドから出られずにいた。

変則的な鬱。

思わずため息が漏れる。


乾いた木を打つ音がして、ドアが開いた。


「レイ?起きてるの?」

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