堕天使フィソロフィー
次の日は、共通の友達が主催する、オータムバースデーパーティーだった。

主催者のアヤカは服飾関係の仕事をしている事もあり、友達がものすごく多い。彼女はあたしがジャンキーの頃からの知り合いだからかれこれ4年来の付き合いになる。

実際に会うのは初めてだった。
リュウが大阪に行ったのも、アヤカがいたからだった。
そのアヤカの誕生日も兼ねて秋に誕生日を迎える友達を集め、その仲間達が集い水槽が綺麗なバーを貸切りパーティーが開かれたのだ。

あたしはアヤカへのプレゼントに白のカーネーションでテディベアが象られた生花をプレゼントした。

酒乱ばかりだったから、その夜はものすごい騒ぎだった。
初対面の人の中で萎縮していたけどリュウが傍にいてくれたから、酒が進むにつれて緊張もほぐれていった。

楽しい夜だった。
もともとあたしには友達が数える程しかいないし、新鮮だった。

その晩は飲み過ぎてあまり記憶がない。

次の日は、シオンに会う予定だった。
ミナミまでの行き方をリュウに教えてもらい、名残惜しい気持ちを隠して彼の家を後にした。

向かう電車の中、やっぱり大阪は東京とは全然違うなと思った。
人に無関心で誰にも干渉せず、去る者を追わない東京。
逆に人情味が厚く裏を返せば人々の自己主張が強い大阪。

関西弁になれていないからだろうか、大阪はあたしにとって異国の様だった。

待ち合わせは道頓堀橋。
嗚呼、テレビでよく観るグリコの看板っ!とおのぼりさん気分でキャリーバック片手に突っ立ているとナンパやキャッチが次々に声をかけてきて鬱陶しかったけどそのしつこさと言ったらない。

まあ歌舞伎町のキャッチに比べたらましかと辟易しながら、半分腹を立てていると

「レイー!待たせてごめんなー!」

とシオンが現れた。

何だ、連れ待ちかとやっとキャッチが離れていって、ほっとしたのを覚えている。

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