堕天使フィソロフィー
ペースを緩めてくれない彼の背中を見失いように歩いて、もう10分くらい立っただろうか。
やっと家電量販店に辿り着いた。一応空しくも真っ二つに折れた残骸は意味をなすのだろうか、データくらいは移せるといいけど。
どれにしようか携帯コーナーを二人でうろつく。
「てかレイちぇる身分書持ってるん?」
『免許持ってないし、保険証しかないよ』
「パスポートとかないん?」
国内旅行で持ち歩くバカがいるか。
『持ってないよ。クレジットカードとの兼用じゃダメなの?』
「いいんやない?」
結局、シオンと色違いのスマホじゃない二つ折り携帯を買った。廃棄に出そうと手の中に握り締めた逆パカされた携帯を見た店員がそちらはどうなさいますかというとシオン無事だったICカードを故意に指で潰した。
あーあ。これで番号もメアドもおじゃんだ。ってかてけめーが壊したんだから新しい携帯くらい買えよ。
呆れていても埒が明かないし、その後HEPに移動してぐるぐる廻り適当に服を買ってシオンも近くでショッピングした。
それにしても、大阪の国民性は未だに慣れない。人がぶつかっても謝らないし、大声で話すし東京人のあたしからしたら、閉口と言う言葉以外に単語が見つからない。
まぁいいや。なんでも。
夜を迎え、ミナミのシオンの働くバーで時間をつぶすことにした。