堕天使フィソロフィー
関西は言葉の使い方にやはり違和感が抜けない。
ずっと東京育ちのあたしからしたら、馴れ馴れしくてイライラする。

ミオンの働いているバーはスカイブルーの間接照明印象的で、遅身のスラックスとベストに身を包んだ他のバーテンダーも病的な顔色に見えた。

「レイちぇるいらっしゃい。何飲む?」

リキュールの種類も揃っているし、一応ちゃんとしたバ-らしい。

『んーとりあえずギムレット』

「しゃらくさいもん飲むんやな」

軽く文句を言言いながら、シオンはシェーカーを振った。
薄く濁った液体がカクテルグラスに注がれる。

照明こそ暗さ、ボックス席の多さにホストかと思ったものの酒の種類やバーテンダーのルックスからしてまるで違うようだった。

まぁいいや。黒の光沢したシルクのようなベストを羽織ったシオンは何時もよりもかっこよく見えた。

夜も更け始め、一元の客も減りシオンや他のバーテンダーもボックス席に移ったあたしの周りに座っていた。

焼酎やウィスキーを皆で何本か開け気が付いたら満喫でシオンと寝ていた。

やばい二日酔い。まじ死にそうだ。とりあえず水が飲みたい。

彼を起さない様に跨いでドリンクバーに向かう途中でやっと此処が歌舞伎町の、満喫だと知る。

今何時なんだろ。どうやら朝まで飲んでいたらしく、午後の4時を過ぎていた。
紙カップの水を抱えてボックスに戻るとシオンは起きていた。






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