堕天使フィソロフィー

唇路

結果から言うと逃亡は、のちに母親を説き伏せる形で成功した。
成功という言葉が正しいとは思わないが関西での生活は始まることを許されたのだ。

リュウには呆れられた。友達には諭された。シオンには褒められた。
自分の言動力が常に男と言う人生のスパイスに刺激され過ぎていることに自分でももはや辟易する。

その後、シェアハウスで暮らし、ミナミやキタのキャバクラを巡り歩いて2週間弱。働く店を見つけ寮に入った。ミナミのキャバクラ。


関西ノリには気後れするばかりで最初はタジタジ。お客さんに
「自分おもしろないなぁ。オチのない話長々とするなや。眠たくなってくる」

なんて言われた日には半泣き。関西人の生まれ持ったユーモアのセンスの高さにはほんとに感心させされる。

仕事や街並みでの温度差を感じる度に、シオンのバーに行っては酒に溺れた。
鏡月、ウィスキー、シャンパン、ワイン。
日に日に使う金額が増えて、行くのが嫌になってきた。
もう店には行きたくないと何度も話した。





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