堕天使フィソロフィー
既に心臓がバクバクいっていた。
肘裏の静脈に刺される細い針。
ツッと真っ赤な血が注射器の中に入った。
注射器を真ん中まで
押されて今まで感じた事がない、興奮がやってきた。
血の量が増えた気がした。
注射器を引かれると、サーッと血の気が引いた。
押して引いてを何度か繰り返し、
あたしは注射痕を押さえた。
「どう?」
『やばい』
世界が違って見えた。輝いて見えた。
自分は何でもできる気がした。
相手を愛おしく思った。
「フェラして」
あたしは頷くと舐めた。
恍惚の中でこの人とずっと一緒にいたいと思った。
舐めているだけで気持ちが良かった。
彼に過去を話した。
全てを話した。
リスカの傷を見せた。
彼はこう言った。
「そんなに死にたいならレイは薬に頼っても生きろ」
と。
その言葉を信じた。
そのまま彼とホテルを出た。