ねぇ、先生。愛って何ですか?
嘘だもん。嘘だよね、先生。
信じられなくて、だけど心のどこかでやっぱりって思ってる自分もいて…
頭の中も、心の中もぐちゃぐちゃで、とにかく先生に会わなきゃって足が進んでた。
いつもいる数学準備室の前。
ね、先生。ありえないだろっていつもみたいに笑ってくれるよね?
ドアを開こうとしたら、かすかに聞こえる二人の声。
この声、先生と英語の真田(サナダ)先生…?
聞いちゃ駄目と思っても、その場に立ち止まってしまった。
「秀人先生、昨日楽しかったですね」
昨日…?
「生徒たちの噂になってるみたいですよ、私たちのこと」
「そうですか」
「今日もどうです?今晩お暇ですか?私素敵なお店見つけたんです。」
「へー。いいですね。」
「ふふ。今晩仕事が終わったら待ってますね。」
昨日の綺麗なモデルみたいな人って真田先生…?
それに今日…。やっぱり、先生
ガチャ
「あら、宮城さん。こんなところでどうしたの?」
準備室から出てきた真田先生に声をかけられてしまった
「…橘先生に、授業でわからないところの質問に…」
「あら、偉いのね。しっかり教えてもらいなさいね。」
「……はい。」
「じゃ、橘先生。また後で。宮城さんもさよなら。」
ご機嫌で去って行く真田先生。
いつもなら女の子には厳しいのに…先生の威力はすごいね。