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「N高の校門の前で言ったら『誰?』って言われて、私のすぐ横にいた彼女らしき人と帰って行った。」
そう正直に言うと、かすみちゃんは顔に似合わぬ笑い方をした。
「ぎゃははは!ってかそれ、らしきじゃなくて彼女っしょ!」
おなかを押さえ、目に涙を浮かべてまだ笑っている。
そんな笑わなくても…。
でも、まだ笑える事実がある。それは…
「しかもその彼女、ここの学校だった。」
これ。
そう、私と同じ制服を着ていたのだ。
それを見た瞬間、私は目眩がした。
「嘘?!椎、あんたツイてないね~。もしかして同じ学年?」
「うん、たぶん。なんか見たことある顔だったし。」
「N高の先輩と付き合ってる子……」
かすみちゃんが何かを思い出そうとしている。
かすみちゃんは美人だし頭も良いから、先生からすごく信頼されてるし、顔が広くてなんでも知ってるんだよね。
「あっ!もしかしてそれって、2組の木下茉莉ちゃんじゃない?!」
木下茉莉ちゃん……
「あーっ!あのお人形さんみたいにふわふわしたかわいい子か!そうだ、その子だ。」
「やっぱ?!椎、あの子の彼氏は奪えないよ。」
そう言って私の肩にポンと手を乗せるかすみちゃん。
「いや、奪おうなんて思ってませんよ。大体彼女いるの、あの場で初めて知ったし。」
「まぁ、椎ならまたすぐに好きな人できるでしょ。」
「尻軽みたいに言わないでよー。恋愛体質って言って!」
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