終わらない夏
14才
14才の夏、私は両親に捨てられた。

田舎の祖母の家に置き去りにされた。

祖母は無口な人でほとんど私とも話しをしなかった。

居場所もない私は、ただ細い草の生い茂った道を歩いていた。

道の舗装もされず、民間のとたんもほとんどがサビついていた。

うだる様な暑い草むらの向こうから女の子が歩いているのが見えた。

髪の長いセーラー服の女の子だった。

「あの制服…」

私が通っていた学校の制服だ。

こんな場所で見るなんて

もしかしら見間違いかもしれない。

セーラー服なんてどこもよく似ているもの。

女の子は私の方へ歩いてくる

やっぱりうちの制服だ

少し嬉しかった

話しが出来るかもしれない

私は自然と彼女に向かって歩きだした。

しかし、彼女の髪は長く顔がよく見えない。

何故か急に話し掛けてはいけない気がして私は何も言わずすれ違った。

「やっと来たのね」

そう聞こえた気がした

私はすぐさま振り返ったけれど、彼女の姿はどこにもなかった。
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