終わらない夏

何もないこの家では夜になると木々のざわめきしか聞こえない。

「私、どうしたんだろう」

そう思いながら天井を見上げていた。

カタン

コン

窓の向こうから音がする

コン コン

木が窓に当たっている…そう思って窓の方を向いた。

「ヒッ!」

窓にベッタリ女の子が張り付いていた。

「あっ、あっ」

あまりの恐怖で声も出ない。

張り付いている女の子はこっちを見ながら何か口を動かしている。

「…や…こ…に…」

良く聞こえない。

逃げたくても彼女から目が離せない。

恐怖におののきながらも彼女の言葉が分かるように聞こえてきた。

「早くこっちへ来い!」
彼女のギョロリと血走った目を見た瞬間私はそのまま気を失った。

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