終わらない夏

目が覚めた時、窓には彼女の姿は無く、朝日が部屋を照らしていた。

「夢…」

あまりにもリアルだった

いつもの様に朝食を済ませると私は外出した。

「行ってきます」

返事も返って来ない祖母に独り言のようにつぶやいた。

祖母はその時悲しそうに私を見た。

両親に捨てられてからいつも来る場所があった。

小さな川

踝くらいまでしかない本当に小さな川だったけど、水は冷たく透き通っていて小さな魚が見えて大好きな場所だった。

いつもの様に岩に座り足を浸していた。

冷たい水と一緒に何かが足に当たった。

「また!」

髪の毛がびっしり絡みつき足下が見えない。

急いで川岸へ上がろうとしたが、誰かに掴まれ動けなかった。

「いっ、いや…」

掴んだ足の間から彼女の顔が出てきた。

「まだ思い出さないの」

そう言うと彼女は、私の足を引きずり川の中へ引っ張った。

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