幼馴染みの夢
幼馴染みのあいつ。

すぐ怒ったり、笑ったり、表情がコロコロ変わる。

見ていてほんと飽きない。

濂ちゃん 、濂ちゃんっていつも後ろを着いてきた。


「通学のバスに痴漢出る?濂ちゃんと一緒ならやっつけてくれるよねぇ。」


そう言って頑張ってた受験勉強。

レベルが高くて駄目かもしれないと言いながらも、負けず嫌いの性格がうまく働いた。

受験日、俺の転校が決まった。

これ以上、授業を休むようなら考えるようにと言われていた。

忙しくなってきた仕事。

事務所の人間、両親と何度も話し合い、転校を決めた。

最後までこのままでなんとかならないかと食い下がったのは俺。

心配だったから。

愛をひとりにするのが、怖かったから。

幼馴染みはどんどん可愛くなり、生意気になった。

そして、我慢がうまくなった。

泣かなくなった。

あんなに泣き虫だったくせに、泣かなくなった。

強くなったわけじゃない。

我慢がうまくなっただけ。

全部おみとおしなんだよ。

だから、ひとりにするのが、怖かった。








「そっかぁ、凄いねぇ。良かったじゃん。」


卒業式を終え、春休みを満喫していた愛。

転校の話を俺の母親から聞かされた愛。

寝ようとしてたら窓を何かが叩いた。

カーテンを開けたら、愛が自分の部屋の窓から何かを必死に投げていた。


「何だよ。」


「遅かったね。仕事?」


「あぁ。なんか用か?」


「別に。」


「寝るぞ?」


「聞いた!」


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