幼馴染みの夢
閉められたカーテンの向こう。
ついていた明かりが直ぐに消えた。
そのまま、しばらく見ていた。
一緒にいるのが普通だと思っていた。
好きだとか嫌いだとかいう次元の問題ではない。
いるのが普通だと思ってたんだ。
家族ではないけれど、一緒にいたから。
いつもどんなときでも一緒にいたから。
仕事が少しずつ忙しくなって、顔を見ない日が増えた。
だから、夜中に帰って、受験勉強の邪魔をするのが楽しみだった。
馬鹿なことを言いながら、怒ったり、笑ったりする愛を見ているのが楽しみだった。
でも、泣かなくなったことに気付いたのはいつのことだろう。
仕事だからと約束を破っても、疲れてるからと、遊びにきた愛を追い返しても、愛は怒らなくなった。
「あっかんべーだ!」
決まり文句を言って怒った振り。
「ごめんね。」
疲れてる俺に迷惑をかけたから。
我が儘を言ったから。
「ごめんね。」
謝る回数が増えた。
「眠いんですけど?」
夜中に窓から訪ねる俺を、文句を言いながら、笑って見ていた。
「今のドラマ、良いよねぇ。泣けるよ。」
テレビに出るたびに興奮していた愛。
最近は、なんにも言わなくなった。
ビデオに録ってること、知ってるんだ。
観てくれてること。