幼馴染みの夢
とても綺麗な表紙。
めくったページから溢れる愛の悲鳴。
めくってもめくっても出てくるおぞましい単語。
言葉にするのも躊躇われるような殴り書かれた文字。
その中に、時々混ざる
『濂』
の文字。
俺のせい。
楽しみだったはずの高校生活は、一体、どうなって………。
教科書をもつ手が震え始めるのがわかった。
どうすればいいのかなんてわからない。
隠してるなら、隠されたままでいる方が………。
悲鳴が胸に突き刺さる。
教科書を元に戻し、部屋の中をぐるりと見渡した。
何事も無かったように座るテディベア。
夏休みの宿題に、二人で作った落書きにしか見えないタペストリー。
何も変わって無いようにしか見えない部屋。
ひっそり隠された愛の悲鳴が、あちらこちらから聞こえる気がした。
「助けてやるから。」
隣の幼馴染みでいられなくなった日。
俺の中で、何かが弾けた。