幼馴染みの夢
「お前、頭悪いからな。ん?勉強、教えてやろうか?」
「そんな時間ないんじゃないの?教えて欲しいのはやまやまだけどさ。」
「時間なんて作るもんなんです。勉強しようという気持が大切。教科書、見せてみな。ん?これか?」
愛の悲鳴が隠された教科書に手を伸ばした。
「駄目!!」
「あ?」
「あ……それじゃなくて、こっちが良いな。」
ひきつった笑顔でバッグを覗く。
やっぱり、見せないつもり。
「はい。こっち。えっと…………。」
捲った途端、顔色が変わった。
「…………やっぱりこっちにしようかな。」
別の教科書を手にする。
「…………うそ……。」
「愛?」
呆然と手の中の教科書を見つめる。
「あ…はは……。私、肝心の教科書、忘れたみたい。また今度教えて?」
「あぁ、わかった。」
バッグのチャックをしっかりと閉めた。
「忘れ物の女王だな。」
「何それ?」
「じゃ、寝るわ。」
「寝ろ寝ろ。」