幼馴染みの夢

「お前、頭悪いからな。ん?勉強、教えてやろうか?」


「そんな時間ないんじゃないの?教えて欲しいのはやまやまだけどさ。」


「時間なんて作るもんなんです。勉強しようという気持が大切。教科書、見せてみな。ん?これか?」


愛の悲鳴が隠された教科書に手を伸ばした。


「駄目!!」


「あ?」


「あ……それじゃなくて、こっちが良いな。」


ひきつった笑顔でバッグを覗く。

やっぱり、見せないつもり。


「はい。こっち。えっと…………。」


捲った途端、顔色が変わった。


「…………やっぱりこっちにしようかな。」


別の教科書を手にする。


「…………うそ……。」


「愛?」


呆然と手の中の教科書を見つめる。


「あ…はは……。私、肝心の教科書、忘れたみたい。また今度教えて?」


「あぁ、わかった。」


バッグのチャックをしっかりと閉めた。


「忘れ物の女王だな。」


「何それ?」


「じゃ、寝るわ。」


「寝ろ寝ろ。」






< 18 / 77 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop