幼馴染みの夢
愛が、ちょっとだけ、不安な顔をした。

直ぐに笑っていつも通りに手を振ったけど。


「ねぇ、濂ちゃん。」


「ん?」


自分の部屋の窓を乗り越え、振り返る。


「……………わ」


「なぁ、愛?」


「え?」


「俺が去年使ってた教科書、もらってくんない?邪魔でさ。ラインとか一応引いてあるし、馬鹿なお前には良いんじゃね?」


「濂ちゃん………。」


「明日、持ってってやるよ。だから、お前のおばかなの、捨てちゃいな。」


「………うん。」


「じゃあな。」


「うん。」


「………愛?」


「うん。」


うん。

それしか言わなくなった愛。


「風邪ひくぞ。」


「うん。」


「寝ろ。」


「うん。」


「じゃあな。」


「うん。」






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