幼馴染みの夢
「持ってても傘はささなきゃ意味ないんです。知らねぇの?」


ほんとしつこい。


「馬鹿は風邪ひかないはずなのにな。」


はいはい。

寝るから帰って下さい。


「特殊な雨だな。」


そうですね。


「でっけぇ注射してもらえよ、ケツにさ。」


乙女に向かってケツだと?

せめておケツにしてよね。

ん?なんか変?


「医者行ってねぇんだろ?」


行きません。

大っ嫌いなんだから。


「学校、さぼりたかった?そっちか?」


さぼったわけじゃないでしょ!熱あるんだから。38.5℃あるんだからね。

死にそうなんだから。

もうさっさと帰れ!

布団をもう一度引き上げ、さらに布団に潜り込んだ。

頭の上で溜め息が聞こえた。


溜め息つきたいのは私だってぇの!


「じゃあな、お馬鹿さん。」


そう聞こえた後、部屋のドアが閉まる音がした。

階段を軽快に降りていく。
もう来んな、ばぁか!

ありったけの思いを込めて、あっかんべー。


この幼馴染み。

私の事をなんだと思ってんのか、いつも勝手に現れて、勝手に帰って行く。

ずっとそう。

特に高校に入ってからは、馬鹿扱いに拍車がかかった気がしてならない。

私が同じ様に、勝手に部屋にはいると、物凄く嫌な顔をする。

意味が分からない。





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