幼馴染みの夢
「すげぇな。」
帰りの移動車の中。
凛がずっと同じ台詞を繰り返す。
「凄いもん見たよ。」
「うっせぇな。」
「愛ちゃん、ずっとお前見てた。」
「そ?」
「知ってるくせに。」
「さぁね。」
「目的はあの三人組だったんだ?」
「さぁね。」
「目的は達成されたんだ?」
「いや、まだわかんねぇ。逆効果だったかも。」
「結果、ちゃんと報告しろよ?付き合ってやったんだから。あ!うどん!」
「覚えてた?」
「今日の昼飯、お前の奢りだから。」
「へいへい。」
車は都内のスタジオへ向かった。
これからは、アイドル
和泉 濂
の時間。
「うまくいくと良いな。」
「あぁ。」
唇を噛み締めた姿が、ずっと頭の片隅から消えなかった。