幼馴染みの夢
「愛ちゃん?久しぶりね。濂ならしばらく事務所の寮なのよ。」


濂ちゃんのお母さんが申し訳なさそうな顔をした。


「ううん。良いの。これ、返しに来ただけだから。」


持ち主が現れないゲーム機。


「私、やらないから。濂ちゃん、寮に持ってけば良いかなって。」


「ごめんね。愛ちゃんに迷惑ばっかりかけて。」


「今度、いつ帰ってくる?」


「わかんないのよ。面倒くさがりだからね、あのこ。」


「だね。」













それから一ヶ月が過ぎても、三ヶ月が過ぎても、ゲーム機はそのまま。










「寮にあるからいらねぇわ。」










愛ちゃんにあげるって。もらってやって。











いらない。











持ち主が棄てた物。










忘れさられた私と同じ。











同じ物は二つはいらない。











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