幼馴染みの夢
「考える時間が少しでも出来ればラッキーだろ。」


さすが日本一の国立大学現役合格のかたは言うことが違う。


「愛は愛なんだから。」


決して比べたりしない両親のもと、コンプレックスを持たずに育った。

私は私。

考えるために進学する。

甘えた考えだけれど、今の私には、やりたいことも、やらなければならないことも見付かってはいない。

時間を作るために、進学を考えていた。




「いい加減だな。」




濂ちゃんならそう言うだろう。




「甘えすぎだ。ばぁか。」



そんな台詞、きっと聞くことも無いんだろうな。

私の進学なんか、興味も無いだろう。


立ち止まり、濂ちゃんの部屋を見上げた。

閉められたカーテンから漏れる明かり。

久しぶりについた明かりを眺めていた。










「おかえり。…………バイバイ。」










その晩、部屋の明かりをつけなかった。

その代わり、とでも言うように、一晩中ついていた隣の家の明かり。

深夜、車が停まった。

ドアが閉まる音がして、発車した。

帰ったのかな。

これでゆっくり眠れる。

開けられる事のなかった窓。

今日からは、鍵をかける。

かけたことの無い鍵をかける。

これで、本当に幼馴染みは消える。





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