幼馴染みの夢
麻理が幼い頃のアルバムを観ながら、無邪気に笑った。


「この子、いつも一緒だね。」


指差した写真。


「ん?あぁ、幼馴染みっての?隣の家の子。」


「へぇ。仲良いんだ?」


「昔はね。何?気になる?」


「まぁねぇ。」


「良く言うよ。」


「キス、した?」


「まさか。幼馴染みだってぇの。気持悪くて考えらんねぇわ。」


「ひっどぉい。実はずっと想い人だったりしてね〜。」


けらけら笑いながらアルバムを観ていた。

ドキリとするのを笑って誤魔化した。

明日、朝が早い麻理をタクシーに乗せたのは、日付が変わって少ししたころ。


「濂。」


「………まこ兄?」


「久しぶりだな。あれ、彼女?」


「違う違う。まこ兄、元気?」


「この通り酔っぱらいですけどね。愛に………いや。」


「何?」


「愛に……逢ったか?」


「ううん。逢ってないけど。何?」


「そっか。いや、良いんだ。お前、元気そうだな。売れちゃって。すっかり遠い人だな。」


「そんなこと無いって。」


「あるある。あんな有名人彼女にしちゃって。…………そりゃ、愛なんかどうでも良くなるわな。」


「ねぇ、さっきから、愛が何?」


「ん?わかんねぇ。ま、酔っぱらいですから。じゃあな。」



手を振りながら、家に入って行った。







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