幼馴染みの夢

何気無く見上げた愛の部屋。

明かりのついていない部屋の住人は、眠っているのだろうか。

二階に上がり、窓を開けた。

懐かしい感覚。

幼馴染みは、元気なんだろうか。


ずいぶん長い間、忘れていた感覚。


部屋の隅に置きっぱなしにしたゲーム。


久しぶりに自分のテレビにセットした。


丁寧に並べられたソフト達。

俺が買ったものじゃないものも一緒に。


「これ、愛に買わせたやつじゃん。」


ぐだぐだ文句を言いながら、お年玉で買わせたやつ。

ゲームを進めながら、懐かしさと、違和感を感じていた。

この違和感。

なんなのかはわからなかったけれど、自分の部屋で自分のゲームをしているだけのことに、妙な違和感を感じていた。

結局、一度もつかなかった愛の部屋の明かり。

何故か、心の奥がずしんと重かった。

もうすぐ、初めてのコンサートツアーが始まる。

なんとなく感じた違和感は直ぐに消え去った。

はず。






一度もつかなかった部屋の明かり。

愛は笑ってるのかな……。





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