幼馴染みの夢
「行こ。」


二人を見ないように歩いた。


「愛、待てよ。」


頭の上の声が、溜め息と共に届いた。


「まこ兄…。」

「よ。珍しいとこで会うな。」


濂ちゃん、嫌いだったくせに。


「帰んの?」

「あぁ。お前……らは?」

「まぁ……。あ、幼馴染みの誠さんと愛。で、こっちは、麻里。」

「こんばんは。写真、見せてもらったから会いたかったんだ。嬉しい。」

「こちらこそ。でさ、このツーショットは何?」

「行きたいってねだっちゃった。ね、濂。」

「ね、濂?ねぇ、濂くん?どうしちゃったのかな?」

「まこ兄…………恐いから。ごめん。」

「はいはい。じゃ、今夜はお開きですかね、濂くん?」

「ごめん。またメールする。」

「あぁ。…………愛、行くか?」

「…………え?」

「帰るよ?」


三人が私を見てる。


「私…………母さんのお土産見てくる。お兄ちゃんたち、話しあるなら良いよ。私、一人で帰れるし。」


一歩、足を後ろに退いた。


「愛?」

「良いよ。別に。私には関係ないし。」


お兄ちゃんの困った顔。

………また、メール?

笑わなきゃ。

ちゃらちゃら笑って…


「愛、俺さ、き…」

「あーっと……」


濂ちゃんの言葉は恐い。





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