幼馴染みの夢
「せっかく?」

「あぁ。まこ兄がなんとかしろってすげぇ怒るから。俺、お前になんかしたか?」

「まこ兄が怒るから?」

「あ?……あ、いや、そ」

「来たくないなら来なきゃ良いじゃん。私は頼んでない。」


せっかく我慢してたのに。
なんなのよ。


「濂ちゃんはやりたいことどんどんやって頑張って凄いよ。私なんかと違って偉いよね。もう、すっかり芸能人だもん。ちゃらちゃらした女子大生なんか興味ないでしょ?」

「愛、ちょ…」

「名前、覚えてたんだ?もう忘れたのかと思ってたよ。」


もうすっかり喧嘩ごし。


「別に濂ちゃんに来てもらっても嬉しくないから。嫌々来てもらってもね。そんな暇あんならダンスでも歌でもレッスンしなよ。」


笑うどころか、だんだん涙声になってきた。

これ以上いくと絶対泣くのが目に見えてる。

なのに………止まらなくなった。


「アイドルなんてあっというまにいなくなるんだから。ちゃんとやらないと明日は普通の人になっちゃうんだからね。そしたら困るでしょ?」

「何言ってんのかわかってんのか?」

「わかんないわよ!そんなのちっともわかんないわよ!」


叫ぶような台詞に、濂ちゃんの眉間に一気に皺がよる。


「もう、何がなんだか……わかんないよ……。なんで来るのよ………。私なんか関係ないって言ったじゃん………。興味ないって………言った……じゃん………。」


涙が一気に溢れた。





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