幼馴染みの夢
「…………ちか…。」



「愛?見えてんのか?」


見えてんのか?

見えてるから、近いって言ってんの。

あぁ、でも、なんかゆらゆらするな。


「愛?おいっ、愛っ!」


名前を連呼するのが聞こえたけど、気持ち良くなってそのまま目を瞑った。












「ほんと馬鹿。」


煩いな。


「だから医者行けって言ったろ。」


はいはい。


「馬鹿はいつまでたっても馬鹿だな。」


はいは………痛い。

夕べ、夜中の訪問者の呼ぶ声を聞きながら眠ったと思っていたら、どうやら、倒れたらしい。

目が覚めたら、心配そうに覗き込む母が見えた。

その後ろに、壁に寄りかかって欠伸をしながら人のことを馬鹿よばわりする幼馴染み。


「熱、下がってきた。良かったわ。濂ちゃんにお礼言いなさいよ。」


母が、お粥を作ってくるから、と部屋を出ていった。

天井を見つめながら気になる事だけを聞いた。


「…………何時?」


「朝の9時。」


「……学校は?」


「これから仕事行くから休んだ。」


「………メロンは?」


「冷凍庫。」


「…………メロン……食べたいな。」


静かにたちあがり、なんにも言わずに部屋を出ていった。




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