幼馴染みの夢
『今夜 10:00
   鍵開けとけよ。』










初めて見たアドレス。










「濂ちゃん………だ。」










バイバイした日から、三ヶ月が過ぎた。

バイトに明け暮れて終わろうとしている夏休み。

濂ちゃんには逢ってない。

使い道も特に考えてないバイト代。

結構貯まってきた。

頑張ったご褒美に、何か買おうかな、なんて思ってみたり。

場所が場所だけに、カップルも大勢来たけど、別に羨ましいこともなかった。

新しい出会いがあるわけでもなく、かといって、楽しくないわけでもない。

要するに、何かしていないといられなかった。

何かに夢中になりたかった。

笑顔を振り撒き、食事を運ぶ。

何にも考えずにいられた。

クタクタになって帰れば、後は寝るだけ。

濂ちゃんが出ているバラエティも、歌番組も、ドラマも観なくてすむから。








鍵、開けとけ………?

来るつもり?

何しに?

私のアドレスまだ持ってたんだ。

ちょっとだけ嬉しいと思う自分がいた。







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