幼馴染みの夢

久しぶりに開けたカーテン。

この窓から見る濂ちゃんの部屋。

こんなに遠かったっけ。

約束の時間まであと一時間。

窓の下。

壁に寄りかかり、目を瞑った。

最後にこの窓が開いたのはいつだろう。

もう覚えてないよ。

濂ちゃん。

恐いよ。

笑える自信なんかないよ。

どうすれば良い?

もう泣きたくないんだよ。

でも、笑いたくもない。

濂ちゃんの顔、みたくないんだよ。

笑えるかな………。

笑いたいな……。











「……い………愛…。」


ん?

寝ちゃった?

腰痛い……


「……わっ!」


思わず叫んだ。

だって、目の前のベッドに座る濂ちゃんがいた。


「疲れてんだろ?ちゃんとベッドで寝ろ。俺、帰るから。」


立ち上がり、近寄ってくる。


「ごめん。大丈夫。」


時計を見ると、もう11時を回っていた。


「いつからいるの?」


座ったまま濂ちゃんを見上げた。


「知りたい?」

「うん。」


私の目の前にしゃがみこんだ濂ちゃん。


「10時きっかり。」

「…………ごめん。」

「ま、その分、得したから良いわ。許してやる。」


得した?

なんだろう………?

薄笑いを浮かべて立ち上がった。






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