幼馴染みの夢
「愛?」










窓を開けたら、すぐそこに頭があった。

そっと覗いたら、スヤスヤ眠っている。

起こさないように静かに中にはいり、愛のベッドに腰かけた。

真っ直ぐ前に愛がいる。

シャワーを浴びてすぐこの位置に落ち着いたんだろう。

首にバスタオルをかけ、濡れたままの髪が頬にかかっている。

久しぶりにみる幼馴染みをじっと見つめた。

無邪気な寝顔が素直に可愛くて、このまま一晩中見ていたいと思った。









「バイバイ」










そう言って、泣いて笑った。





そんなつもりは全く無かったのに。

想いは擦れ違うのが得意みたいだ。

我慢が得意な幼馴染みは、俺が知らない内に、我慢しかしなくなっていた。

俺が、迷っていたから。



「バイトばっかでちっとも家に居ねぇ。お前のことなんか忘れちまったんじゃねぇか?知らねぇぞ?」




まこ兄がぼやいた。

いや、脅し?




「バイト先の先輩とどうにかなっても知らねぇぞ?」









ならねぇよ。

愛は俺のもんだってぇの。






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