This is us



けれど、佐々木は俺に見返りを求めていないんだって気付いた。



いつもふざけているその顔の裏側で、俺を心配してくれている。


夏休み一回も部活に顔を出さなかった俺に、毎日メールをくれたのも佐々木だ。


今だって、ここ数日放心状態の俺を見てこうして来てくれたんだと思う。


佐々木といると、一人で見る景色が鮮明に色付いて見えた。



「香川と別れたんだって?そいで幼なじみの原さんもフッたらしいじゃん」


ああ、もう噂になってるんだ。


「…そうだけど」


九月とはいえ、まだまだ暑さが残っていて。


大きな木の影に寝転がっていても、うっすらと汗が滲んだ。


「元気ないじゃん〜。何か悩みでもある?」


「悩みねぇ…」


いつの間に佐々木も横になっていたのか、すぐ真隣で声がする。


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