This is us
「さとり!がんばっ」
静まり返る体育館に、優花の元気な声援が響く。
それに続いて次々に皆が応援の言葉を送ってくれた。
ふう…っと、大きく深呼吸をする。
どうしようもないくらい、緊張していた。
「西高 小田切さとり」
「はい!」
一歩前に踏み出し、右手をぴんっと真上へ上げてから、返事をする。
当たり前だけれど、マットには私以外誰もいないんだ…
審査員も他の高校の子も…みんなみんな私を見ている。
心臓が口から出てしまいそうだ。
ゆっくりとマットの中央に歩み寄り、ポーズを決める。
曲は、好きな映画のサウンドトラックから抜粋した。
何度も聞いたその曲が、体育館に大きく響いて。
ひらひらとリボンが楕形を描く。
アチチュードターン、ジャンプで移動しながら大ジャン、鹿反り…
苦手なブーメラン、投げ前転、エシャッペ…
自分が踊っているんじゃないみたいに感じた。
.