This is us



「1、2、3、4…」


「小田切、ちょっといい?」


「はい…?」


アップをしていた私に、橋本先生が手招きする。


練習の群れから外れて、鏡の前に立たされた私。


あっけらかんとしたアホ面に、改めて気持ち悪いなって思う。


「ちょっとフェッテをしてみて」


すらりとした先生が隣に立つと、自然に背筋がすっと伸びた。

いきなり何を言い出すのかと思ったら…。


「分かりました」


ふぅっと瞳を閉じて深呼吸をする。

ぱっと瞳を開いた私は、どこか強い光が宿っていて、左足を軸に勢い良く回転した。


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