This is us



「結城くん!あたしミスに選ばれちゃった!よろしくね?」



突然ふわっと風に乗って、甘い香水の匂いがして。


顔を上げると、頬を赤く染めてニッコリ笑う女が立っていた。


誰だっけ?


胸まである明るい色の髪に、パーマがかかっていて。

真っ直ぐに切り揃えられた前髪から覗く大きな目が、人形みたいだと思った。



「…ほら、握手!」


差し出された白い手。


俺は仕方なくその手を軽く握った。


「ふふ、良かった!去年は個人だったけど、今年はベストカップル賞なんだって。だから頑張ろうね!」



は?


キャピキャピと話した後、『じゃあまた明日!』と言って友達の輪に戻って行った。


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