This is us



置いてきぼりにされて、泣きそうになる。



あたふたしている間にも、彼は近付いてきていて。


ふと絡まった視線に、私は石のように固まってしまった。


「し…しさしぶり」


「しさしぶり…?久しぶり」


噛んだ私に、怪訝な顔をした彼は心なしか少し笑った気がした。


恥ずかしくて、顔を上げられないから分からないけれど。


「もう帰るの?」


「ん」


体中が、麻痺したように言うことをきかなくて指先が震えている。


緊張?君が目の前にいるから?


ねえ、考えない日なんてないくらい…

ずっと君の事考えていたんだよ…。



「そっか、あ…結城くんのクラス何やるんだっけ?」

「…何だったかな」


少しでも、繋ぎ止めておきたくて。


「ダメじゃ〜ん!ちゃんと知っておかなきゃ」


笑顔でぺらぺら話しているけれど。


なんだか、虚しいね。


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