This is us
Side Ren
「ちょっと!待ってよ〜ぉ!」
なつめが後から追いかけてくる。
俺は構わず進んだ。
「待ってってば!何でそんなに怒ってるの?」
「別に、怒ってねぇよ」
ゆらゆらと揺れる瞳を見て、言った後に後悔する。
何ムキになってんだ…って。
「そ」
なつめは短く返して先を歩き出した。
実はなつめと話すのはあの時以来で。
少しも気にしていないその様子が、信じられない。
「そんな顔、見たくない」
背を向けたまま、なつめがぽつりと呟いた。
真っ赤な夕日に溶けてしまいそうなくらい、小さく。
俺は何て返したらいいのか分からず、なつめをチラッと見た。
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